未来の名工を目指す若き左官職人


 

左官職人集団「蒼築舎」(三重県四日市市)では、現在5人の若者が代表・松木憲司さんのもとで修行に励んでいる。厳しい職人の世界に、自ら飛び込んだ若者たち。「未来の名工」を目指し日々。研さんを積む2人の若き職人に話を聞いた。

 

スキルアップが職人の喜び

 

DSC_6759親方・松木さんの片腕的な存在なのが、和田尚之さん(29)だ。地元・広島の訓練学校の先生に紹介された松木さんの元で、修行を重ねて11年になる。一人前になるのに長い時間を要し、心身共にタフでなければまっとうできないのが「職人への道」だ。そんな厳しい世界だけに、人の出入りも激しいが「仕事を覚えたい一心」でキャリアを積んできた。これまで出来なかったことが上手くいって、「スキルアップを実感」した時に、職人の喜びが湧いてくるという。

「蒼築舎」の若い職人仲間の兄貴格でもある和田さんは、「親方から学んだ技術を、若い人に伝承するのが私の役目だと思っています」。そして、もう一つが10年超の職人経験で重要性を痛感した人間関係に気を配ること。「大切なことですね。仲良く、そして、厳しくでいきます」と表情を引き締めた。

松木さんが、意欲的に取り組んでいる伝統的な左官技能を活かした新商品の開発。和田さんも大いに刺激を受けているようで、「(新商品は)親方の技術が集積されたもの。いろいろ盗みたい」と意欲を見せている。

 

(写真)土壁を塗る和田尚之さん

(写真)土壁を塗る和田尚之さん



 

 

「もっと創造的な仕事がしたい」と左官の道へ

 

DSC_6764建築現場では、まだまだ少ない女性職人の1人である吉川千尋さん(26)。大学では建築科で学んだ。ハウスメーカーへ就職するのが一般的だが、「もっと創造的な仕事がしたい」の思いがあった。以前から、伝統的な日本家屋に興味があった吉川さん。偶然目にした松木さんのホームページを見て、左官職人を目指すことを決めた。出身地の横浜から四日市市に来て2年が経った。

「毎日、悩みながら仕事をしています。覚えることがいっぱいあって・・・。でも、毎日、違うことをやっているので楽しい」

周りは男ばかり。体力的なハンデは覚悟の上だ。先輩からは「何回、同じことを言わすんや」と毎日のように怒鳴られても、簡単にはめげない。「いろんな技術を身につけたい」強い気持ちが彼女を支えている。吉川さんが関心を持つ、土壁を使った日本家屋が少なくなった。「土壁は、空気中の有害物質を吸収したり、室内の湿気を吸って必要に応じて出してくれたりと、健康面にいい働きをするんですよ」と残念そうな表情。自分の将来像は、まだ描けていないが「5年は辛抱する」と決めた吉川さん。鍛錬の日々は、まだ、しばらく続く。

 

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(写真)土壁をまぜる吉川千尋さん



(関連ページ) 伝統的な左官技術継承を目指す職人

 

 

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