建設現場レポート ~会社も職種も違う職人たちが思いを一つに~


 


東京の主要幹線道路が交わる八丁堀交差点に、新たなランドマークが誕生する。来年3月に竣工を迎える「TMG八丁堀ビル」(設計・施工=竹中工務店)は、地上10階、地下1階の視認性に優れたオフィスビル。その建設現場では、会社も職種も違う職人たちが思いを一つにチームを組み、個々の業務に勤しんでいる。緊張感と集中力を維持しながら明るさも失わない職人たちをレポートする。

 

楽しく仕事して毎日が最高の気分です

 

【外装工事・白石由斉さん】

金属パネルなどの外装工事を担当している白石由斉さん(27)は、3年間のサラリーマン生活を経て㈱角藤に転職。野球で鍛えた体力を武器に、仕事でも〝守備範囲の広さ〟を発揮している。

重い資材を扱う現場で、何よりも大切にしているのが安全対策。「自分たちの下に人がいた場合、資材を落としたら大事故につながります。作業するときは下に誰もいない状況を作るか、周りが振り向くぐらいに大きな声を出すよう心掛けています」という。現在も野球チームに所属し、捕手として活躍している白石さん。「体力には自信がありますからね。夏場でも冬場でも動くスピードは一緒。年齢も若いので、ほかの人に負担を掛けないよう自分から動くようにしています」と威勢がいい。

転職して気づかされたことがある。「正直、建設業って〝メチャ怖い人たち〟がたくさんいると思っていました。でも、実際はみんなフランクで優しい人ばかり。自分もこの格好で街中を歩くと周りが避けていくけど、見た目だけで誤解されたくないという気持ちが一番大きいですね」。

前職ではノルマに泣かされ、その日のうちに帰れないこともあったという。「今はサラリーマン時代に感じたストレスが全くない状態。楽しく仕事しているので毎日が最高の気分です」。

転職を機に、仕事に野球と充実した日々を手に入れた白石さん。27歳のイケメン職人は最後に一言、「彼女募集中です」と切実!?なコメントを付け加えた。


♠白石 由斉(しらいし・よしまさ) 埼玉県出身、27歳。外装業。角藤に転職して6年目。趣味は野球。血液型B。

 

 

仕事を続けられたのは先輩のおかげ

 

【とび職・栗谷川洋平さん】

とび職として工事に参加している栗谷川洋平さん(32)は、大手サブコンの向井建設㈱の社員。多種多様な人材が集う建設現場では「ほかの職種の人たちと足並みをそろえることが大事。風通しのいい現場になるよう、コミュニケーションを意識しています」という。

もともと学生時代は柔道部で活躍。その関係で大手警備会社への入社を志望していたが、就職氷河期と重なる憂き目に遭った。「夏休みに(学校から)呼び出されて求人中止の知らせを聞きました。それでどうするってことになって…。ここに行ってみたらと言われたのが今の会社です」。

入社当時は迷いもあった。「先輩たちがストイックで、上下関係も厳しかった。最初は大変な会社に入ってしまったと思いました」。それでも仕事を続けるうちに「ただ厳しいだけじゃなく、愛のある厳しさであることが分かりました」。高所作業を伴う現場は危険と隣り合わせ。厳しい言葉は優しさの裏返しでもある。「みんな良い人ばかり。自分が仕事を続けてこられたのも先輩たちのおかげです」。中堅社員となった今、栗谷川さんも後輩を指導する立場になった。「最近一緒に仕事をしたら、きのうときょうで別人のように成長した後輩がいました。そういう姿を見ると、とてもうれしい気持ちになります」と笑う。

仕事では「精度を重んじている」と話す栗谷川さん。毎年大みそかには、仕事の現場を夫人と一緒に見て回るのが恒例になっているという。「今年はもちろん、ここにも来ます。カミさんはいつも〝凄い〟というだけですけどね」。多忙な1年を締めくくる2人だけの年末行事。照れ笑いを浮かべた栗谷川さんの〝デートスポット〟が、また一つ増えた。


♠栗谷川 洋平(くりやがわ・ようへい) 岩手県出身、32歳。とび職。向井建設に入社して14年目。柔道2段。血液型O。

 

 

建設現場ならではの至福のひととき〝この仕事をやって良かった〟

 

【シーリング工事・前田康宏さん】

防水などのシーリング工事を請け負っているのが、㈱東光商会の前田康宏さん(45)。その道25年のベテランは、1級防水施工技能士の資格を持つ現場のリーダーだ。職長という立場から業種の違う職人をまとめる前田さんは、通常の仕事に加えて現場近隣への対策なども担当。「リーダー会活動と仕事を両立させるのが私の役目です」と貫禄の笑顔を見せる。

「友達が楽しそうに仕事していたから…」と単純?な理由で飛び込んだシーリング業界。「こんなことをやった、あんなことをやったと聞かされましてね。実際に始めてみたら本当に楽しかった」と屈託がない。「建設業は3Kと言われた時代もあったけど、今は社会保険制度や年金などの保障の整備もすすんできました。皆さんに自信を持って薦められる職業だと思っています」。

現場では誰よりも「和」を大切にしている。「いろんな職人がいる中で、自分本位な行動を取るとチームワークが乱れます。そういう意味では言葉遣いも大切。年下であろうが〝○○さん、お願いできますか〟みたいに話すように心掛けています」という。仮に若手が乱暴な言葉を使ってきた場合も、「それはまだ世間を知らないだけ」と冷静に対応。さすがリーダー。人間としての懐も深い。

シーリング工事は、最後の最後まで現場に残る職種でもある。「竣工を迎えて、お客様に引き渡すタイミングまでいることもある」という。そんなとき、「完成を喜んでくれるお客さんの顔を見ると〝この仕事をやって良かった〟と思いますね」。

発注者と施工者がともに喜びを分かち合う。仲間と年月を費やした建設現場ならでは至福のひと時だ。


♠前田 康宏(まえだ・やすひろ) 兵庫県出身、45歳。東光商会に入社して25年目。学生時代は野球部で外野手。血液型O。

 

◇TMG八丁堀ビル

八丁堀の交差点に面した地上10階、地下1階の鉄骨造り(免震構造)。延床面積1万400平方メートル。3面採光(全面ガラスカーテンウォール)の無柱空間が明るく開放的なイメージを演出している。

 

▽竹中工務店東京本店・杉山哲也作業所長の話

所属会社も違う専門職の人たちが、一つの建物を造るという同じ目標に向かって協力し合っています。暑さや寒さ、雨や風など過酷な天候の中で、非常に前向きに取組んでくれる若者がたくさんいることをとてもうれしく思っています。あとに続く人たちのためにも、明るく楽しい職場作りが大切。現場に足を向けたくなる。そんな環境を提供できるよう、われわれも頑張っていきたいと思います。

 

 

 

 

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