新校舎建設現場 ~子どもたちの笑顔のために腕を振るう〝仕事人〟



子どもたちの学び舎が生まれ変わる。現在全面建て替え工事が行われている東京・江東区立第五大島小学校は今年7月に竣工予定で、地上5階、屋上にプールや芝生の広場を備えた機能的な新校舎となる。現場には様々な会社、職種の職人たちが集い汗を流している。子どもたちの笑顔のために腕を振るう〝仕事人〟3人に話を聞いた。

 

 

検査多く重要な「配筋図」を担当 「きれいに組めた時は満足感」

 

【鉄筋工】

コンクリート中の骨組みを組む鉄筋工事を行うのが、栄鉄筋工業(株)の白川慶一さんだ。自身の仕事を「検査が多く、検査を通らないとコンクリートが打てない。重要な仕事です」と語る。

趣味はサーフィンという行動派。7歳と1歳の女の子の父でもある。最近は長女が「パパの現場を見たい」と言うようになり、休みに現場を見に行くことも。「大きなクレーンを見て、パパ、すごい!と言います。自分が動かしているわけではないですが」と笑う。

高校を卒業し、バイトや水道工事を経て、20歳で鉄筋工に。「求人雑誌で見て、給料が良かったので」。だが「夏で常に最上階の作業で暑さがきつかった。鉄は重いし、一週間くらいでやめようかと思いました」と振り返る。それでも1年続けると、ハッカーを使って結束線という針金で鉄筋をつなげる「結束」作業がスムーズにできるように。「きついけど、何もないところから形ができるのが楽しい」と魅力に取りつかれた。

クレーン運転士、1級鉄筋技能士などを取得、仕事の幅を広げてきた。1級技能士となってからは「配筋図」も手がける。仕様書と図面を元に、材料を選択し鉄筋の加工形状や数量を考え、「加工帳」とともに作成する。配筋図を書いて材料を拾い出し、ちゃんと収まるようになると、レベルアップを感じることができた。

第五大島小学校も白川さんが「配筋図」を担当し、検査前に確認を行う。「公共事業はマンションと違い、構造が複雑なので難しい。きれいに組めた時は満足感があります」。最も気を配るのは「配筋図通りになっているか、見落としがないか」だと言う。

現在の仕事で難しいのは若手の指導だ。「若い子をどうやって伸ばしていこうかと。厳しくしすぎてもいけない。考えてやっています」。若い世代に「配筋図」を教え、ともに完成の喜びを分かち合うまで。温かい目で見守り続ける。
♠白川 慶一(しらかわ・けいいち) 東京都出身の39歳。1級鉄筋技能士の資格を持つ鉄筋工。入社して19年目。特技はサーフィンとみこしを担ぐこと。血液型A。

 

 

ミリ単位の精度が求められる作業 「今は図面を見た瞬間、建物全体のイメージがわきます」

 

【型枠大工】

玉木さんは野妻建設(株)に勤める建物全体を覆うコンクリートの型枠を作る型枠大工だ。作業の難しさは「躯体図(くたいず)を元に、紙の図面を形にすること。コンクリートをきちんと流せるよう、ミリ単位の精度が求められる。図面がしっかり読めないといけません」と解説する。

都内の高校を卒業後、寿司屋の見習いを経て19歳で入社した。職業安定所の募集を見て「もの作りが好きだったので、自分に合うと思った」と門を叩いた。すぐに型枠の仕事を始めたが「先輩が厳しく耐えるのが大変でした。見て覚えろ!という感じで必死。今は違いますけどね。家に図面を持ち帰り勉強しました」と振り返る。

一方で若い頃は〝やんちゃ〟でもあり、朝寝坊をすることも。当時の社長で現会長の野妻秋美氏には「我慢して使ってもらいました。尊敬しています」と感謝している。

最初の5~6年は分からないことだらけ。それでも「3~4年目から図面通りに建物が形作られるのを見ると面白くなりました」。さらに「10年くらいやって本当に分かるように。今は図面を見た瞬間に、建物全体のイメージが沸きます」と胸を張る。

クレーン免許や型枠支保工作業主任者の資格も取った。1級の型枠施工技能士は公共事業の中学校建設に携わるため、会社から薦められて取得した。「これからも公共事業に携わりたい」と目標が増えた。現在は先輩として後輩の指導も行う。作業の際には「下の子の仕事の後はきちんと見るようにしています」と細心の注意を払う。

最近、喜びを感じることが増えた。中学1年、小学4年、2年の男の子のパパで「手がけた建物が多くなり、側を通った時に子供に〝これ、パパやったんだよ〟と話すことが増えました」と破顔する。美しい小学校を見せるのも、楽しみに違いない。
♠玉木 勉(たまき・つとむ) 島根県出身の40歳。型枠施工技能士の資格を持つ型枠大工。仕事は21年目。趣味は野球。血液型O。

 

 

 

〝臨機応変な対応〟で「足場」作り 「できるだけ他職が作業しやすいよう組んであげたい」

 

【とび工】

とび工として参加する髙橋政志さんは総合建設業・とび・土工工事業を手がける関根建設(株)の社員。とび工の仕事は仮囲い、足場の組み立てから機械器具・建設資材等の運搬配置、鉄骨の組み立て、工作物の解体と多岐に渡るが、現在は主に足場の組み立てを行っている。

高校を卒業し、居酒屋で1年、LED基盤を作る工場で1年働き、20歳でとびの世界に飛び込んだ。「お金がいいから」と言う理由だったが「最初は体力もなく周りがバケモンだと思いましたね。訳も分からず付いていくのに必死でした。とにかく見て覚えました」と振り返る。それでも「自然に体力も付き、仕事を覚えていったら楽しくなりました」と今に至っている。今回初めて公共事業に関わった。

仕事を始めて6年。足場を組む際には「できるだけ他職が作業をしやすい足場を組んであげること」を心がけて作業をしている。図面ができた時から決まった足場もあれば、図面なしにその場ですぐにパイプで足場を組むよう指示されることもある。臨機応変な対応が求められる。

大切なのは「チームワーク。足場を組む人もいれば、材料を運ぶ人も、材料を渡し上に上げる人もいる。作業が滞らないようにバランスを取ることが必要です」と説明する。さらに「人の安全に関わる仕事。思ったことはきちんと伝えることは大事」とコミュニケーションの重要性も学んだ。

自身が得意とするのは「足場の組み立て」。今後は「人の使い方だったり、工程にどれだけ追いついているかなど、考えながら仕事をしたい」とさらなる成長を誓う。

仕事の達成感を感じる瞬間は「最後に外部の足場を全部バラシ終わって、完成した建物が見えた時ですね」と笑顔を見せる。現在「彼女はいません。募集中です。休みものんびりしていますよ」と笑う。希望にあふれる学び舎の姿を見るまで、仕事が恋人かもしれない。
♠髙橋政志(たかはし・まさし) 秋田県出身の26歳。とび工。関根建設に就職して6年目。趣味は貯金。血液型はAB型。

 

 

 

▽多田建設・第一事業本部建築部・中嶋博之工事事務所長

当社はマンション建設が多く最近は老人ホームなども手掛けて来ましたが、社で学校新設に携わるのは10年ぶり。普段通り取り気合を入れて毎日取り組んでおります。大切にしているのは、職人同士の輪、人の輪!、チームワークです。雰囲気はいいですよ。日頃から対話をするようにしています。のびのび作業が出来る環境を目指しております。「技術のチカラ、現場のチカラ。」を掲げる同社では社員を募集しています。「ものづくり」に関わりたい人をお待ちしています。

 

◇江東区立第五大島小学校 都営新宿線東大島駅から5分、旧中川沿いの公園に面した地上5階、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造。延床面積約7900平方メートル。アリーナ屋上にプールがあり、校舎は吹き抜けで明るく、屋上に芝生の広場がある。

 

 

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